このデータベースは現在開発段階です。内容は随時更新・修正されます。

最終更新: 2026-07-20

全失語

説明

発話・理解・復唱・呼称のすべての言語モダリティが重度に障害される、最も重い型の失語症。
発話はまったく出ないか、意味をなさない常同的な発話(再帰性発話)に限られ、
簡単な指示の理解も困難である。

連続例の調査では最も頻度が高い型であり、初発脳卒中による失語60例の検討では
33.3%を占めた [1]。

通常は右片麻痺を伴うが、片麻痺を伴わない全失語という亜型が知られている。
これは左前頭葉と側頭葉に離れた二つの病変があり、あいだの中心前回が保たれる場合に生じ [2]、
塞栓症や硬膜動静脈瘻が原因となる [3]。片麻痺がないために失語の重症度が
見落とされやすく、注意を要する。

病巣

  • 左中大脳動脈本幹領域(前頭・側頭・頭頂の広範な損傷) [2]
  • 片麻痺を伴わない全失語では、左前頭葉と側頭葉の二連続病変(中心前回を回避)

検査

  1. 標準失語症検査(SLTA)

  2. WAB失語症検査

  3. 重度例向けの評価

    • 残存するコミュニケーション手段の確認(ジェスチャー、表情、うなずき)
    • 自動言語(数唱、曜日)の確認

文献

  1. Bohra V, Khwaja GA, Jain S, Duggal A, Ghuge VV, Srivastava A. Clinicoanatomical
    correlation in stroke related aphasia. Ann Indian Acad Neurol 2015;18(4):424-9.
    (観察研究、初発脳卒中による失語60例。PMID 26713015 /
    DOI
  2. Bunker LD, Hillis AE. Vascular syndromes: Revisiting classification of poststroke aphasia.
    Handb Clin Neurol 2022;185:37-55.(総説。PMID 35078609 /
    DOI
  3. Togawa J, Ohi T, Kawarazaki S. Global aphasia without hemiparesis caused by a dural
    arteriovenous fistula. Intern Med 53(2):135-8.
    (症例報告。PubMed の書誌が内部矛盾している(publication_date は2012年だが
    巻号は53巻2号=2014年、MeSH も本文と合わない)ため、年を断定していない。
    PMID 24429454 / DOI