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最終更新: 2026-07-20

皮質下性失語

説明

大脳皮質の言語野を侵さず、基底核・視床・白質の病変によって生じる失語症。
画像で皮質病変が確認できないにもかかわらず失語を呈するため、
古典的な皮質中心の失語モデルでは説明しにくい症候として扱われてきた。

臨床像は一定しない。脳卒中後の皮質下性失語38例の後方視的検討では、
失名辞失語が最も多く39.5%を占め、病巣として最も多かったのは
基底核(50.0%)であった [1]。基底核病変の例では上肢のFugl-Meyer指数が最も低く、
失語の重症度は日常生活動作(Modified Barthel Index)と有意に相関し、
多変量解析では ADL が失語重症度と関連する唯一の説明変数として残った [1]。

機序については、病変そのものによる直接の言語処理障害と、
病変から離れた皮質の機能低下(遠隔効果・低灌流)の両方が議論されてきたが、
どちらがどの程度寄与するかは確定していない。

病巣

皮質を侵さない皮質下脳卒中50例(失語24例、非失語26例)のボクセルベース病巣症状マッピングでは、
失語群で以下がより強く障害されていた [2]。

  • 左シルビウス裂周囲白質
  • 左前頭後頭束(fronto-occipital fasciculus)
  • 鉤状束(uncinate fasciculus)
  • forceps minor(脳梁前部を通る線維)
  • 左尾状核・被殻

また、以下は境界域の有意性で失語群により多く含まれていた [2]。

  • 左前視床放線(anterior thalamic radiation)
  • 帯状束(帯状回)
  • 上縦束(superior longitudinal fasciculus)

臨床的には左被殻・尾状核、左視床が代表的な責任病巣として挙げられる。

検査

  1. 標準失語症検査(SLTA)

  2. WAB失語症検査

  3. 皮質病変の除外

    • MRI(拡散強調画像・FLAIR)による皮質病変の有無の確認
    • 灌流画像による皮質低灌流の評価
  4. 併存症状の評価

    • 構音障害の有無(皮質下病変では合併しやすい)
    • 運動機能(Fugl-Meyer 等)と ADL の評価

文献

  1. Kang EK, Sohn HM, Han MK, Paik NJ. Subcortical Aphasia After Stroke.
    Ann Rehabil Med 2017;41(5):725-733.(原著、後方視的検討、38例。PMID 29201810 /
    DOI
  2. Kim G, Jeong B, Choi M, Kim WS, Han CE, Paik NJ.
    Neural substrates of subcortical aphasia in subacute stroke:
    Voxel-based lesion symptom mapping study.
    J Neurol Sci 2020;420:117266.(原著、皮質病変を伴わない皮質下脳卒中50例。PMID 33341084 /
    DOI