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最終更新: 2026-07-20

超皮質性感覚失語

説明

発話は流暢で復唱も良好なのに、言語理解が障害される失語症。
「流暢・理解不良・復唱良好」の組み合わせで定義され、
復唱が保たれる点だけがWernicke失語との違いになる。

聞いた言葉の意味は分からないのに、そのまま繰り返すことはできる。
理解を伴わない復唱であるため、反響言語(相手の言葉をそのまま返してしまう現象)として
現れることもある。発話は流暢であるが、語性錯語(別の語に置き換わる誤り)や
迂遠な言い回しが目立ち、内容は空虚になりがちである。呼称も障害される。

病巣は左側頭・頭頂・後頭移行部、すなわちWernicke野の後方・下方の分水嶺領域とされ、
Wernicke野と意味処理を担う領域とのつながりが断たれることで生じると説明されてきた。

初発脳卒中による失語60例の連続例では10%を占めた [1]。

なお、日本語圏で記載されてきた語義失語は、大枠ではこのカテゴリに収まるが、
障害されるレベルを語(word)に限定する点でより特異的である [2]。
超皮質性感覚失語は「流暢・復唱良好」としか規定せず、
言語のどのレベルが障害されているかを特定しない。詳細は語義失語の項を参照。

病巣

  • 左側頭・頭頂・後頭移行部
  • Wernicke野の後方・下方(Wernicke野そのものは保たれる)
  • 中大脳動脈と後大脳動脈の間の後方分水嶺領域
  • 左側頭葉後下部

検査

  1. 標準失語症検査(SLTA)

  2. WAB失語症検査

  3. 理解と復唱の乖離を確かめる観察

    • 復唱課題と聴覚的理解課題の成績の比較
    • 反響言語の有無
    • 意味カテゴリ判断(語の意味へのアクセスの評価)
    • 漢字と仮名の乖離の評価(語義失語との鑑別)

分類上の論点

古典的分類の病巣予測力は限られている。初発脳卒中失語60例の検討では、
伝統的分類による型と病巣の対応が明確だったのは35%にとどまった [1]。
Bunker & Hillis は、失語型を特定の動脈の灌流域に対応する血管症候群として
捉え直す再構成を提案している [3]。

文献

  1. Bohra V, Khwaja GA, Jain S, Duggal A, Ghuge VV, Srivastava A.
    Clinicoanatomical correlation in stroke related aphasia.
    Ann Indian Acad Neurol 2015;18(4):424-9.(原著、初発脳卒中失語60例。PMID 26713015 /
    DOI
  2. Yamadori A. Gogi (Word Meaning) Aphasia and Its Relation with Semantic Dementia.
    Front Neurol Neurosci 2019;44:30-38.(総説・歴史的論文。PMID 31220829 /
    DOI
  3. Bunker LD, Hillis AE. Vascular syndromes: Revisiting classification of poststroke aphasia.
    Handb Clin Neurol 2022;185:37-55.(総説。PMID 35078609 /
    DOI