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構成障害
説明
視空間認知と運動機能の統合の障害により、図形や物体の構成が困難になる症候である。図形の模写、積み木構成、パズルなどの課題で障害が現れる。全体と部分の関係性の把握が特に困難になる。
病巣
- 頭頂葉
- 後頭葉
- 前頭葉
検査
構成課題
- 図形の模写
- 立方体模写
- 積み木構成
視空間認知検査
- 線分二等分
- 図形の回転
- 空間位置関係の把握
障害の内訳を分けて見る評価
- 模写と自由描画の対比(プランニング要求の違い)
- 斜線と水平・垂直線の描出の対比
- 持続的注意・視知覚・運動遂行それぞれの評価
- 左右どちらの手で行ったかの記録
分類上の論点
構成障害が単一の均質な障害であるかどうかには、強い疑問が向けられている。
Kleist、Mayer-Gross、Critchley の古典的論文以来、
構成障害は頭頂葉病変の典型的徴候とされ、
頭頂葉が担う空間能力を測る道具として重んじられてきた。
しかし Gainotti と Trojano は、より精緻な神経心理学的モデルと検査法の発展によって
いくつもの問題が明らかになったとしている [1]。
すなわち、構成障害は均質な構成概念ではなく(heterogeneous construct)、
互いに弱くしか相関しない非常に多様な課題で測られており、
視空間・知覚・注意・プランニング・運動という各種の機序を反映している、というものである。
したがって頭頂葉機能と構成活動の関係を論じるには、
課題と要求される認知機能の異種性、および頭頂葉と後頭葉・前頭葉を結ぶ
処理経路の多元性の両方を考慮しなければならない、と結論している。
この見方を支持する所見が、症例レベルでも報告されている。
Smith と Gilchrist は、構成障害を呈する2例(ECR、RA)に、
子どものプランニング能力の発達を調べるために用いられてきた描画課題を課した [2]。
直角をなす斜線および水平・垂直線を産出させ、
追加の空間情報を与えることでプランニング要求を操作している。
両例とも対照より不正確であったが、ECR は斜線の産出がとくに不良で、
プランニング要求を最小にした条件でも RA や対照と異なった。
著者らは、この患者間の差が、構成障害が単一の障害ではないことのさらなる証拠であり、
しかもその差は病変の左右差だけでは説明できない(2例とも右半球病変であったため)と
論じている。
さらに、責任病巣についても単純な図式は成り立たない。
小林らは、右前頭葉と島の急性期梗塞を来し脳梁病変を伴わない74歳女性が、
超皮質性運動失語、観念運動失行とともに右手優位の構成障害を呈した例を報告している [3]。
右手優位の構成障害はそれまで脳梁病変例でしか報告がなく、
著者らは、空間構造の情報を右半球から左半球の運動野へ転送できないことと
関連する可能性を論じている。
これらを踏まえると、構成障害を「右頭頂葉の徴候」として一括りに扱うのは適切ではない。
どの課題で、どの機序によって障害が出ているのかを分けて評価する必要がある。
文献
- Gainotti G, Trojano L. Constructional apraxia.
Handb Clin Neurol 2018;151:331-348.(総説。PMID 29519467 /
DOI) - Smith AD, Gilchrist ID. Drawing from childhood experience: constructional apraxia and
the production of oblique lines.
Cortex 2005;41(2):195-204.(症例研究・対照試験、構成障害2例。PMID 15714902 /
DOI) - Kobayashi Z, Watanabe M, Karibe Y, Nakazawa C, Numasawa Y, Tomimitsu H, et al.
Right hand predominant constructional apraxia due to right hemisphere infarction
without corpus callosum lesions.
Intern Med 2014;53(14):1553-8.(症例報告。PMID 25030572 /
DOI)